製造業・タイにおける失敗しないDXの取り組みとは?課題と解決策を併せて解説

  04-Sep-2022    04-Sep-2022

製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルを活用して、既存のビジネスを変革すること、新しい価値を生むことです。
昨今、原材料費や人件費の高騰、円安、自然災害など、コロナの影響が収まってきてはいるものの、工場を取り巻く課題は日々増えてきている中、製造現場でのDXによる効率化の必要性は高まって来てはいないでしょうか?
本記事では、製造業のおけるDX、および海外拠点のタイにおけるDXの取り組みについて、わかりやすく解説をします。

    DXとは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説です。スウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされています。
経済産業省の、「DX推奨ガイドライン」では次のようにDXを定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 」
従来は、IT・デジタルを活用して「業務を効率化する」ところをゴール・目的としていたものを、「ビジネスモデルや、組織に変革を起こす」ことと、目的に変化があります。

    日系企業の海外におけるDXの状況

「ビジネスモデルや、組織に変革を起こす」ことを目的としているDX。
そんなDXについて、日系企業における海外の状況はどのようになっているのでしょうか?
ジェトロから出典されている資料を参考に解説をします。

    DXに取り組んでいるのは28%

こちらはジェトロが2021年11月初~12月初にかけて、海外ビジネスに関心の高い日本企業を対象にアンケート調査を実施、1,745社から回答を得た結果です。
DXの取り組み状況について、アンケートを取ったところ、「既に取り組んでいる」と回答した企業が、全体の28%の3割程度にとどまっています。
業種別にみると、「通信・情報・ソフトウェア」が「既に取り組んでいる」と回答した割合が一番高く、全体の70.4%に上ります。
一方で、多くの企業がタイに進出している、「自動車・同部品/その他輸送機器」は、同質問の回答にYesと回答したのは、29.7%と、業種全体の平均値と近い回答率を得られています。

    見えてくる2つの課題

同アンケート調査の結果より、海外進出企業におけるDXについて、次の2つの課題を観測しました。
1. DX未導入の企業が6割を超えている
2. DX導入済みだが、成果を実感できていない企業がある
それぞれの課題を深掘っていきます。

    DX未導入の企業が6割を超えている

一方、DXについて、既に導入済みと回答した企業のうち、全体の10.8%が成果を認識できていないと回答をしました。
タイに多くの企業が進出している「自動車・同部品/その他輸送機器」では、20.4%と、「成果を実感している企業」の割合を上回りました。
時間とお金をかけて、DX化を計ったものの、体感として満足のいく結果が得られていない割合がほとんどであるということが、伺えます。

    DX導入済みだが、成果を実感できていない企業がある

一方、DXについて、既に導入済みと回答した企業のうち、全体の10.8%が成果を認識できていないと回答をしました。
タイに多くの企業が進出している「自動車・同部品/その他輸送機器」では、20.4%と、「成果を実感している企業」の割合を上回りました。
時間とお金をかけて、DX化を計ったものの、体感として満足のいく結果が得られていない割合がほとんどであるということが、伺えます。

    企業が抱えている課題

これら海外に進出している日系企業のDXの状況から、ジェトロでは4つの要素を課題として、提唱しています。
その4つの課題が「人材」「コスト」「情報/知見」「社内理解」です。
これら4つの要素が複雑に絡みない、「DX未導入企業」と、「DX導入済みで成果を実感できていない」と、この2つの問題を誘発している形となっています。

出典:2021年度|ジェトロ海外ビジネス調査日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査|P.50

    課題①「人材」

・デジタル人材の不足により、効果的なマーケティングが出来ていない。今年度よりSNSを活用した商品発信に力を入れており、成果を見込んでいる(情報・ソフトウェア)
・コロナ禍で売上げが縮小したので、今から人件費を増やすだけの余裕がない(アパレル)
デジタル人材不足しており、各企業人材の獲得に苦労をしている様子です。また、採用する人材のスキルが不明のため、思い切った採用活動ができないのも悩みの種のようです。
さらに、売上減少や人件費の高騰で、本業からの影響も重なり、DXを進める人材が確保できないなど進めたいけど進められないジレンマに陥っているように思えます。

    課題②「コスト」

・運用やメンテナンスといったランニングコストの増大(情報通信機械器具)
・様々なシステムが複雑に関係しあっているため、新しいシステムを導入しようとすると、複雑な構造を必要とするため、コストの割りに成果には限界があり、悩ましい状況(商社・卸売)
システム導入によるランニングコストの増大、システム導入により機能が増えると運用が複雑になり成果が出ないなど、投資に対する効果を効率良く回収できていない印象を受けます。システム投資に対する、効果を最大限高めることが課題といえそうです。

    課題③「情報/知見」

・中小企業ゆえに使えそうなシステムなどがわからない(飲食料品)
・まだ事例が少ないのでどういった運用が効果的か検討をするのが難しい(飲食料品)
中小企業となると、システム部門、IT部門などのDX専門部隊を持つことが難しいため、方向性を定めるのが難しいと感じられているようです。
また、DXの導入事例について、まだまだ自社にピッタリはまるの事例は少なく、情報収集するのに苦労をされているように思われます。

    課題④「社内理解」

・社内理解が進んでいないため、担当者が独断の範囲で推進している。そのため、どうしても大きな動きにならず、局所的な改善に留まっている(印刷・同関連)
・小さな規模の会社ではまず社長がやって見せて社員に浸透させていくしかないと感じる(飲食料品)
組織としてではなく、個人・部門単位として動いているため、効率の良い導入ができていないようです。また、規模が小さい会社になればなるほど、トップが動く必要があり、負荷がかかってしまうことを懸念している様子です。

    課題に対する解決策

企業が抱えている4つの課題についての、解決案をご提案します。
解決案は次の4つです。
「内部と外部のハイブリットな人材活用」
「スモールスタートからのスケールアップ」
「外部セミナーへの参加・スポットでのアドバイス」
「トップダウンによる全体最適化」
これら4つの解決案を同時並行的に進めることで、企業のDX失敗を防ぐことができます。

    解決策①「内部と外部のハイブリットな人材活用」

人材」に対する解決案です。
必要に応じて、外部の知見を取り入れて、内部のチームと一緒にDXを推進することが重要となります。
昨今、エンジニア不足により、IT人材の獲得は非常に困難を極めております。
仮に獲得ができたとしても、高給な人材となり、周りの人材との調整が難しくなります。
また、ジョブホッピングが多い、東南アジアの国では、せっかく高い経費を払い獲得をした人材を手放してしまうようなケースは散見されます。
そのため、必要な人材について、すべて内部で賄おうとせず、必要に応じて外部のITベンダー、コンサルティングチームを向かい入れることが必要となります。
プロジェクトの必要な部分で、適切なコストをかけて、DXを推進することがベストです。
しかし、DXを推進する上で、内部のチームの結成も必要不可欠です。
社内でITに責任を持つ人材、業務部門を熟知している人材、管理部門を熟知している人材の3つの人材と、外部ITベンダーとチームを組ませることが、ベストなチーム構成となります。

    解決策②「スモールスタートからのスケールアップ

「コスト」に対する解決案です。
大きな目標を決めて、そのあとにマイルストーンとなる小さな目標を決めましょう。
小さな目標を、まず目先のゴールとして、スモールスタートをします。
最低限の人材、最低限の費用でスタートさせて、プロジェクトを推進します。
全体俯瞰をして、ゴールを設定することで、全体最適が図れるとともに、小さいゴールを設定することでの部分最適も同時に図ることができます。
大きな予算をかけて、一つの大きなヤマを描くよりも、小さい山をたくさん描いて、大きなヤマを作った方が、「コストを抑えることでの得られる最適な投資対効果」「失敗時のリスクヘッジ」の2つのポイントを抑えることができます。

   解決策③「外部セミナーへの参加・スポットでのアドバイス」

「情報/知見」に対する解決案です。
情報を取得するには、能動的に取得をする必要があります。
昨今、DXに積極的に取り組んでいる事業会社、ITベンダー、コンサルティング会社は増えております。そのような会社が主催するセミナーに参加をして、情報を取得することが重要です。取得した情報を、社内で共有するための勉強会を開くことも方法のひとつです。
また、社内へ社外のITベンダーを招いて、スポットで情報を取得することも重要です。自社にあったソリューションを全体、部分の双方で検討を進める必要があります。

    解決策④「トップダウンによる全体最適化」

DXを成功させるためには、個人、部門単位で実施をしても成功はしません。
必ず全社単位で、部門を跨いだ横断的な形でないといけません。
現時点の全社の「課題」を明確にして、「あるべき姿」を描き、「課題」と「あるべき姿」のギャップを明確にすることが重要です。
ギャップを明確にして、「実行」「検証」に移行して、DXの導入を図っていきます。
その際、前頭の指揮を執るのは、経営層である必要があります。
経営層が全体を通して最適解は何かを導き、そして各部門、担当者への指示を出す必要があります。経営層がしっかりとした目標を提示することで、各社員は全体の向かうべき方向を理解することができます。
経営層がトップダウンで指示をだし、各部門の担当者が実働部隊として稼働することで、「全体最適」と「部分最適」がしっかりと考慮されたDXソリューションを検討することが可能となります。

    #製造業・タイにおけるDXで失敗しないために

製造業におけるDXは、最終的な目指すべき姿をイメージして、スモールスタートで進めていくことが重要となります。
タイ国内の日系企業においても、IoTツールを活用したデータ収集については、導入をされているところも増えてきています。
しかしながら、現段階では、データを活かしきれていないというのが、現状かと思います。
こちらは三菱電機株式会社が掲げているDXへのロードマップです。
最終的には、生産情報と、ITを連携される仕組みで、工場設備IoTで製造現場起点の情報を取得して、リアルタイムにデータ分析・活用することを目指しているロードマップとなります。
初期段階の情報取りから進めていくことで、工場でも無理のない、リアルなDXを実現することができます。
エンジニアリングチェーンとサプライチェーンを俯瞰した分析を行うことで、ものづくり全体としての生産性向上やコスト改善を目指すことができるようになります。

出典: 製造業DX取組事例集|pwc

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