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製造業における失敗しないDX


近年、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みが話題になっていますが、その背景には現代の製造業が直面する課題があります。
ものづくり白書によると、人材の量的不足に加えた質的な抜本変化への対応不足や、従来の強みと考えてきたものが成長や変革の足かせになること、また、デジタル化の本質的なインパクトを認識できていないことが挙げられています。さらに、昨今のコロナ禍の影響により製造業の DX の重要性は、製造業においてますます取り組むべき大きなテーマとなっています。
しかし、実際に取り組む中で成果を生み出せている企業はごく一部で、これから IoT や AI の利活用を検討する企業だけでなく、既に取り組んでいる企業で悩みを抱えている例も少なくありません。
成功企業の取り組みが大きく取り上げられる一方で、停滞企業がこうした“壁”を乗り越えるためには何が必要なのでしょうか。 

製造業が抱える7つの課題

特に日本企業にとっては、既存システムの存在や人材不足により、導入のハードルが非常に高い状態であることが指摘されています。そのため、中国やアメリカなど諸大国と比較してDX導入が遅れている現状があります。ここでは、日本企業にとってDX化の妨げとなっているものは何かを解説します。

1.経営戦略が不透明

経済産業省曰く、DXを進めるために経営戦略が不可欠としています。新たなデジタル技術が次から次へ登場する中で、それらを活用してどのようにビジネスを変革していくかを検討する必要があるとのことです。しかし現状、デジタルを駆使した戦略を模索している企業は多いものの、単にDXの必要性が認識されるだけで、具体的な検討が欠けていることも多いです。例えば、ビジネスをどのように変えるか具体的な検討がないまま、単に「AIを使って何かできないか」といった指示だけが出されるといった事態が起きていると指摘されています。

2.人材を確保できない

経済産業省は、システムのユーザーである企業が外部ベンダーにシステムの開発や運用を委託する構造が存在すると指摘しています。こうしたシステム会社による下請け構造の存在が、社内で高いITスキルを持つ人材の育成を阻害してきました。加えて、DX化には既存システムを含めた見直しが欠かせません。既存システムの開発・運用についての知識を持つ人材が社内に存在しないため、DX推進プロジェクトを進めることが難しいと言えます。社内にIT人材がいないのであれば、外部から人材を集めることも1つの手段です。しかし、日本では少子高齢化に伴う労働力人口の減少、そしてIT需要の高まりに伴い、社会全体で深刻なIT人材不足に陥ることが予想されています。さらに、経済産業省の調査では、既に2018年段階で22万人の需給ギャップ(供給が不足している)が生じているとのことです。このギャップは時間経過とともに拡大していき、2030年段階では最大約79万人にも達する見込みです。社会的にIT人材が不足することは、その採用における企業間の競争が厳しさを増すことを意味します。特にAIやIoTなどといった先端テクノロジーを活用してDXを進められるような高スキル人材については、その採用がきわめて困難になることが容易に予測できます。

3.システムのブラックボックス化

レガシーシステムを利用している企業の多くが、自社システムがブラックボックス化している状態にあります。システム内部が不透明になることで、システム障害への対応が遅れ、運用管理費用が肥大化し戦略的なIT投資ができないといった様々な問題が生じます。

4.べンダーに頼っている

ベンダーとは、IT製品をユーザーに販売する会社のことです。前述の通り、システムのユーザーである企業が外部ベンダーにシステムの開発や運用を委託する構造が存在します。こうしたシステム会社による下請け構造の存在が、社内で高いITスキルを持つ人材の育成を阻害してきました。

5.既存システムが負担となっている

前述の通り、既存システムが負担となってDXを妨げる傾向にあります。調査によると、「ドキュメントが整備されていないため調査に時間を要する」「レガシーシステムとのデータ連携が困難」「影響が多岐にわたるため試験に時間を要する」などの課題が列挙されています。DXを進めるためには、既存システムを見直すことが不可欠なのです。このため「守りのIT投資」に資金や人材を割くことを余儀なくされており、DXを推進することが困難になっています。

6.IT投資が進んでいない

日本企業ならではの課題として、そもそもIT投資自体が低いこと、そして既存システムの老朽化が進んでいることがあります。経済産業省によると、日本ではアメリカに比べて「攻めのIT投資」が進んでいません。ここで言う「攻めのIT投資」とは、ITによる製品・サービスの開発、ITを活用したビジネスモデルの変革など、価値を生むようなものを指します。その代わりに、業務効率化/コスト削減や業務プロセスのIT化など、「守りのIT投資」が多いのが日本のIT投資の特徴となっています。その要因の1つが、既存システムの老朽化です。経済産業省のまとめでは約8割の企業が老朽化したシステムを抱えており、約7割の企業がそれをDXの足かせになっていると評価しています。このように、DXを進めるにはIT投資以外、すなわち人材育成や組織整備を進める必要があるのに加え、日本企業においてはIT投資の質自体にも改善の余地があるのです。

7.デジタル改革の成功率が低い

マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査によると、DXに成功する企業の割合は約16%にとどまります。デジタルに限らない企業変革の成功率が約30%であるのに対し、DXはその半分にすぎません。そして製造、エネルギー、インフラ、製薬といった業界に限定すると、デジタル変革の成功率は4~11%と、さらに下がるとされています。この調査結果だけでも、DXのハードルがきわめて高いと分かります。マッキンゼーが企業経営者にインタビューしたところ、その課題は経営者のコミットメントや理解度、企業文化、デジタル人材の不足など、人や組織にまつわる要因が課題として挙がっています。ただIT投資を進めるだけでは、DXの成功につながらないことを示していると言えるでしょう。

DXの課題を解決するために必要なこと

企業がDXを実現するための方法は、「経営戦略を確立し、DXで目指す姿を共有」「ITシステムの『見える化』による検討」「ユーザー企業とベンダー企業の関係見直し」の3点が鍵となります。

1.DXで目指す姿を共有する

DXの推進には、全社的な協力が求められます。DXは語源のとおり「デジタルトランスフォーメーション」であり、単なる新技術の導入ではありません。こうした新技術によって、ビジネスモデルや製品・サービスの変革を起こすことがDXであることを踏まえると、IT部門や一部の事業部門のみならず、経営者や大半の事業部門を含めた体制づくりが欠かせません。これらの関係者の間で、「DXで何を目指すのか」の目的・ビジョンが共有されていることも大切です。このレポートでは、「明確な目標設定をせずに、レガシー刷新自体が自己目的化すると、DXにつながらないものができ上がってしまい、再レガシー化の恐れがある」としています。

2.ITシステムの「見える化」を進める

既存のITシステムの全体像を把握することが大切です。このレポートでも、企業が既存のIT資産を評価し「見える化」することを促すために、経済産業省がガイドラインや指標、診断スキームを構築することが提言されています。自社の持つ情報資産の現状を分析し、機能別に刷新を進めることが重要です。たとえば、頻繁に変更が発生する機能はクラウド上で再構築、不要な機能は廃棄、変更すべき機能や新規機能は適宜クラウドへ追加するなどが考えられます。

3.ベンターとの関係を見直す

ITシステムの開発や運用・保守を請け負うベンダー企業にとって、DX実現に向けた大規模なシステム刷新はリスクの高いものです。ベンダー企業のDXに対するモチベーションを高めるためにも、リスクを軽減するような契約関係の再構築が必要なケースもあるでしょう。このレポートでは、いくつかのアイデアが示されています。たとえば、ユーザー企業がベンダー企業に対して要件定義まで丸投げしないよう、要件定義工程を設計工程と分離させる、両者が上下関係ではなくパートナー関係にあるとの見方から、「プロフィットシェア(開発されたシステムによる利益の一部を事後的にベンダー企業へ還元する)がなされるよう規定を作る、トラブル発生後の解決時間短縮や非公開性の担保のためのADR(裁判外紛争解決手続)の活用などがあります。

DXの効果的な導入方法

ここまで、DX化における課題や必要な要素について解説してきました。では、実際にどのようにDXを導入すればよいか解説します。

1.ツールのデジタル化

デジタル化とは、Web上のアプリやクラウドサービスなどを積極的に導入していく段階のこと。さまざまなツールをデジタルに置き換えて、データを蓄積していきます。

2.システムの効率化

システムの効率化は、デジタル化によって蓄積したデータを部門ごとに活用していく段階のことを指します。「IT革命」はこの段階に至るまでの変化をもたらしました。日本では多くの企業が現在この段階にあり、各企業が施策実施に日々のさまざまなデータを活用しています。

3.データ活用の基盤を構築

データの共通化とは、部門内だけでデータの共通化を図るだけでなく、全社的にデータを活用するための基盤を構築していく段階のこと。全社的な共通のKPI(評価項目)を設定し、仮説を立て、施策を実施し、データで検証するサイクルを回していきます。

4.運用体制を確立

さらに、ここまで構築してきた基盤を活用して、効率的にデータを運用する組織を作る必要があります。目的は、組織をしっかりと固め、運用体制を確立し、業務フローを明確化することです。

5.事業活動へのDX導入方法

最後に、事業活動そのものにイノベーションを起こす事業計画への反映が必要です。これはDXの最終段階で、目的は蓄積されたデータから事業計画をブラッシュアップしていくことです。データなどのデジタル資産は事業基盤となり、その活用が競争力の向上につながります。いち早くDXに取り組んだ先駆的な企業でも、この段階に到達している企業は少ないです。今後はこの段階を目指し、さまざまな企業がDXを推進していくでしょう

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